Happiness day
第16章 サクラ咲ケ
でもね?俺が欲しいのはお金じゃない
キミが美味しそうに食べる笑顔が見られるだけで十分
キミの手を取り、手のひらに100円を戻した
「智くん?」
「これは受け取れないよ
俺があげるって言ったんだから、お金はいらない」
「でも…」
「それに、一粒100円もしないよ?」
「そうだけど…」
「さ、そろそろ行かないと、花火が始まっちゃう」
「あ…」
手のひらに乗ったままの100円玉を、キミのコートのポケットに入れて
再び手を繋いで歩き出す
「おっ!うまいっ」
ぶどう飴を一粒口に入れて噛み砕いた
「でしょっ!」
隣から聴こえる嬉しそうな声
その声だけでぶどう飴一粒の価値がある
「おうっ。パリパリの飴の中から果汁が溢れて来て、ほんのり酸味と飴の甘みが混ざり合ってうまい」
「そうなの!ぶどう飴は味だけじゃなく、食感も楽しめる」
「りんご飴はそこまでのジューシーさはないからな」
「うんうん」
キミがイチゴ飴を半分くらいかじった
「んふっ…甘酸っぱくておいし〜。
はい、智くん」
「え?」
残りのイチゴ飴を俺の口の前に差し出す
「智くんも食べてみて?イチゴも美味しいよ?」
「でもそれじゃ、翔くんの分が減っちゃう」
「僕があげるって言ったんだからいいの。
それにふたりで分け合った方が美味しいんでしょ?」
「あ…」
去年のクリスマス…小さなケーキをふたりで分け合って食べた
ケーキの上に乗ってた一粒の苺もふたりで半分ずつ
最初、ケーキを遠慮した翔くんに俺が言ったんだ
『ふたりで分け合った方が美味しいよ』って
その会話を覚えてくれてた?
キミが美味しそうに食べる笑顔が見られるだけで十分
キミの手を取り、手のひらに100円を戻した
「智くん?」
「これは受け取れないよ
俺があげるって言ったんだから、お金はいらない」
「でも…」
「それに、一粒100円もしないよ?」
「そうだけど…」
「さ、そろそろ行かないと、花火が始まっちゃう」
「あ…」
手のひらに乗ったままの100円玉を、キミのコートのポケットに入れて
再び手を繋いで歩き出す
「おっ!うまいっ」
ぶどう飴を一粒口に入れて噛み砕いた
「でしょっ!」
隣から聴こえる嬉しそうな声
その声だけでぶどう飴一粒の価値がある
「おうっ。パリパリの飴の中から果汁が溢れて来て、ほんのり酸味と飴の甘みが混ざり合ってうまい」
「そうなの!ぶどう飴は味だけじゃなく、食感も楽しめる」
「りんご飴はそこまでのジューシーさはないからな」
「うんうん」
キミがイチゴ飴を半分くらいかじった
「んふっ…甘酸っぱくておいし〜。
はい、智くん」
「え?」
残りのイチゴ飴を俺の口の前に差し出す
「智くんも食べてみて?イチゴも美味しいよ?」
「でもそれじゃ、翔くんの分が減っちゃう」
「僕があげるって言ったんだからいいの。
それにふたりで分け合った方が美味しいんでしょ?」
「あ…」
去年のクリスマス…小さなケーキをふたりで分け合って食べた
ケーキの上に乗ってた一粒の苺もふたりで半分ずつ
最初、ケーキを遠慮した翔くんに俺が言ったんだ
『ふたりで分け合った方が美味しいよ』って
その会話を覚えてくれてた?