記憶色フレア
第2章 前戯 *
「千絵……続き…したいけどさ」
「……!!」
「時間も時間だし……」
「あ…」
すっかり忘れてた……
壁の時計に目をやると、21時過ぎてる。
む……?この時間ならまだ終電間に合うけど……
「まだ大丈夫って思ったでしょ…俺がダメ……」
「え?」
丸めたティッシュをゴミ箱に投げる映司先輩。
ナイスショット。
「俺ね……今何とか理性保ててるの…
でも、ここからもっと…千絵に触って……
もし千絵の中に……入っちゃったら……
多分もう…千絵のこと帰したくなくなる」
「っ……」
ベッドからおりてパンツを穿く映司先輩。
「親御さんに心配かけたくないし…ね?」
「…はい……」
映司先輩の意見押し切って、わがまま言えない…
気持ちは泊まってもいい!と思えるけど…
服の着替えもないし……明日も学校。
映司先輩に迷惑かけちゃうもんね……
「そんなに寂しそうな顔しないで」
「うあ」
頰っぺをつままれる。
「俺ももっと、千絵と一緒にいたい…
またここにおいで?てか……来て。
連れてくるから」
「っ……はい…」
それってつまり……
また映司先輩と…
「よし。駅まで送るね」
その後の映司先輩は、今までとは少し違って見えて……
明日以降、学校で普通にできるか……
不安しかない私だった。
自分の部屋で、映司先輩の裸を思い出して1人でしたなんて……
口が裂けても言えない。