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若葉

第2章 嫉妬

『智…顔見せて…』
頬にそっと手が触れて、上に向ける

そこには眉毛を眉間に寄せ、口には気まずそうに小さな笑みを浮かべた松本がいた

『困らせるつもりはなかった…。そんな顔するなよ…余計に離してやれなくなる…』

自分がどんな顔をしていたのかわからなかった
ただ…涙が溢れて止まらない

そっと瞼に柔らかなキスが落ちる
頬に
鼻に
唇に…
今までの奪う様なキスじゃなく、癒すように、慰めるように、ただただ優しいキス

『あっ…』
徐々に熱を取り戻す体が恥ずかしくなり、松本の胸を手で押す

顔が火照るのが、自分でもわかる

『隠さなくていい。智が嫌じゃなかったら、続きをしよう』
『でも…潤君…俺、気持ちがめちゃくちゃで…』
『いいさ…気持ちいい事だけしよう。今は何も考えるな』

でも…

『……潤…もう一回…キスして…』

あの唇が欲しい
自分の欲望が止められない

『…何度でも』

柔らかな表情で松本が笑う

自分の知っている松本潤という人間は、こんな顔をする男だったのか…

彼を見てきたつもりが、見ようとしてこなかった事に後悔した

こんな事を続ける理由がなくなったはずなのに…

カズの為だったはずなのに…

突き放す事ができない…




『はぁっ…!んんっ…潤っ…』
『智…好きだ…愛してる…』

耳元で何度も囁かれる言葉に
突き上げる激しい動きに
溺れていった…


深く長い夜が落ちてゆく
肉体が触れ合いぶつかり合う音と、吐息混じりの甘美に酔いしれる声がいつまでも部屋に響いていた



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