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時間がない

第1章 時間がない


 気がつくと同級生の立花レインくんの家の前に立っていた。彼は幼稚園の頃からの幼なじみだ。スマホを握りしめて。さっきはフワフワと浮いているような感じだったけれど、今は地面の固さを感じている。
 
 スマホをタップして、時間を確かめた。朝の五時。あの遣いだという人が言ったことが本当なら、タイムリミットは五時二十分だ。その時間にアラームをセットした。
 
 ガチャ
 
 予定していたかのようにレインくん家の玄関が開いた。紺色のジャージ姿のレインくんが出てきた。胸が高鳴った。
 
「え、うるう? なんで……」
 
 レインくんが驚いたような声で私に聞いた。
 
 なんでって……。
 
「え、ちょっとね……レインくんに会いたくなっちゃって」
 
 手汗が凄い。
 
「でも、久しぶりだよね。うるう、お前さ、なんかちっと痩せたんじゃねえ?」
 
 レインくんの冷たくて大きい手のひらが、私のオデコに触れた。耳たぶがカアッと熱くなる。
 

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