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君の光になる。

第7章 化粧

「はい、出来上がり……」と母親が言いながら、髪に櫛を通してくれた。
 
「どう? お母さん、私……」
 
「ええ、とっても可愛いわ。夕子……」
 
 母親の鼻をすする音が聞こえた。ため息の中に「ゴメンね」という声が混じる。
 
「お母さん……私の目は個性だと思うの。私の声とお母さんの声や顔が違うのと同じ……。まあ、時々、ちょっと不便だなって思うことがあるけど……。私は気に入っているのよ。毎日、色々新鮮だしね。私の目……。だから、お母さん……」
 
 頬を涙が溢れる。母親の指先が夕子の涙袋を滑った。
 
「……泣いたらダメ。ダメになっちゃう。せっかくのお化粧が……」
 
 二人の声が笑った。

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