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君の光になる。

第9章 手紙

 次の月曜日、いつもの駅で安倍と会った。
 
 ラブレターのことが頭に蘇る。胸が高鳴り、言葉が出なかった。
 
 気のせいか、安倍の口数も少ない。帰る途中に、二人はいつもの駅から十分くらいの駅で電車を降りた。
 
「……この間はすみません。少し留守していて……」
 
「いいえ、私が勝手に……。それに麗さんによくしてもらって、ホントに助かりました」
 
 秋の空には珍しく暖かな風が夕子の髪を揺らした。少し風が強い。
 
「お天気……。台風でも来そうな風ですよね?」
 
「はい、今夜は少し暖かいので降るかも知れませんね。でも、今は星が空いっぱいです」
 
「星……キレイですか?」
 
「……ええ、とても……空気も澄んでいて気持ちのいい夜です」
 
 脂の香ばしい匂いや甘い菓子のような匂いに迎えられた。安倍と腕を組んでいた。商店街の割に雑踏は感じられなかった。
 
 安倍が大きく深呼吸した。
 
 夕子も大きく息を吸い込む。昼間とは違い透明な空気が胸いっぱいに満たされる。その中に安倍のトニックシャンプーの匂いを感じた。

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