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君の光になる。

第4章 知らない女性

 数日後、夕子は安倍と出逢った駅に向かっていた。時間は少し外して。
 
 雑踏の中、電車が滑り込む音が聞こえる。プシューという音が聞こえた。雑踏が激しく動く。夕子は安倍と座っていたベンチに腰掛けていた。
 
 カツカツとヒールのある靴の足音が近づいた。遠くで石鹸の匂いを感じた。石鹸の匂いが夕子の前にある。
 
「あの……立花……えっと……夕子さん……ですか?」
 
 細く小さな声だが歯切れのよい声が夕子に声を掛けた。

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