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そして、やっと休憩時間が来た。
気のせいか、彼女と過ごす休憩時間の30分は短く感じるのに
レッスン中の30分はとても長く感じる。

「お疲れです。それじゃ今から休憩時間にします」

そう言うと、生徒達はレッスン室から出て行った。
水分補給でもしに行くんだろう。
しかし、俺は真っ先に向かうところがある。

彼女がいるかも知れない音楽室だ。
廊下に出ると、外部の音が少し聞こえた。
打ち付けるような激しい雨音が聞こえる。
これだけの音が聞こえるのだから外は恐らく豪雨だ。
いつ雷が鳴り出しても可笑しくはない。

早く行かないと彼女がまた泣いてしまう。

音楽室へ向かおうとした時だ。

「あ、あの…、先生っ！」
「ん？」

いきなり背後から聞こえた女性の声。
立ち止まり振り返るとそこにいたのは、うちのクラスの女子だ。
確か名前は…

「あー、小野か。どうした？」

小野 真純(おの ますみ)。
確か泣きの演技が上手くて、うちのクラスの中では比較的大人しい感じの生徒。
その小野がどうしたんだ？
俺はいち早く音楽室に行きたいが、ここで小野を振り切るのも不自然だよな。

一応話を聞くか…。

「あ、あの…」

小野はもじもじと何かを言いたげにしているが、大人しい性格の為かなかなか言い出せないでいる。

あー、生徒の話は真面目に聞きたいが今はちょっとなぁ…。