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ローターとバイブと弟と私

第11章 11.終焉

――ガチャ!――

音がした……。

(ん?ガチャ????)
私はその3文字で表される、日常しょっちゅう聞く生活音を表すオノマトペを聞いたことによって、脳の電子思考回路がフルで働き、実に多くの情報を処理し理解することができた。

1.「Don't Disturb」の札をドアノブにぶら下げた
2.しかし鍵を閉めるのを忘れた…
3.興奮してダイキの名前を大声で連呼した
4.ダイキは自分が呼ばれたものと勘違いをして部屋に駆けつけた
5.そしてDon't Disturbの札に気づかずドアを開けた

これらの情報を私は1秒の数分の1秒ですべて理解をしたのだった。

私はドアの方に足を向けるポジションでオナっていた。
ドアを開けた弟と、バイブ越しに目が合った。

左から数えて「弟・バイブ・私」といった順に並んだ格好だ。

私は《命》の体勢で、バイブを突っ込んだマンコを弟に晒しているのだ……。
これを「終焉」と呼ばずになんと言い表せればいいのだろう?

長い長い沈黙が続いた。
いや、実際には2~3秒だったかもしれないが、私にはそれよりも遥かに長い時間が経ったように思えた。


弟が沈黙を破って言葉を発する。

「お姉ちゃん…何してんの?…」

私が何をしているのか弟は知っているのだろうが、そう質問するしかなかったのだろう…。

その状態は、プライベートセキュリティーの緊急事態《レベル4》の状態だ。(最高値)
こんな事態が起きたとき、何を話せば、どう答えればよいか……誰も言葉は用意していないだろう。
私は用意していない。

しかし、弟の《質問》が突き刺さるように頭の中で復唱される。

(何してんの?何してんの?何してんの?…………)

そして私は思考をストップさせたまま、脳と断絶された唇の筋肉だけを使って、脊椎反射のように答えた。

「研究……」

ツッコミどころ満載の私の返答は、さらに時間を停止させる魔法の言葉として部屋の中に響き渡った。



(END)
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