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ヌードモデルは『ミス・キャンバス』になれるのか

第3章 知佳の場合――レオタードの憧憬

2人目のヌード希望者は、知佳。

レオタードで審査されるというからエントリーしたという、バレエ教室に通っている一年生だ。

作品制作はE教授の担当だが、ゼミ生の見学も彼女は承諾していた。
なお、私が初めてモデルのアルバイトをつとめたのがE教授のゼミである。

バレリーナやダンサーがヌードモデルをつとめることは多い。

肉体美。理想の筋肉。体力。
美術モデルとしてはこれ以上の条件はない。

だから、ドガは踊り子を描いたのかもしれない。

また、裸を見せることへの抵抗も小さいのではないか。

ラベルのボレロを上半身裸で踊っているところをテレビで視たこともあるし、
とある比較的新しい演目では、神への生け贄に選ばれた少女が裸にされるという。プリマドンナが全裸で踊ることになるが、それも至上の芸術なのだ。

特異な環境で研鑽を積まなければできないことだと、私は思う。

ヌードモデルといえども、私は裸では踊れない。

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