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インモのモウソウ日記
第1章 凌辱
汗が止めどなく流れていた。
照りつける太陽の日差しは、耳障りな蝉の鳴き声と同調して流れ出る汗をさらに沸騰させていた。
私はジリジリとした気持ちで信号が青になるのを待ち続けた。
私の前には、脂肪をふんだんに蓄えた坊主頭の男が
タオルで額と首元を忙しなく拭いていた。
グレーのTシャツは汗で脂肪に貼り付き
履いているジーンズからは清潔感が感じられず
異臭が漂ってくるような気がした。
男は汗を拭きながら
左手にいる女の子に話しかけていた。どうやら連れ合いらしい。彼女だろうか。
肩まで伸びた赤毛の髪にリボンを付け、白いフリルのついたワンピース、いわゆるロリータ系の出で立ちをしていた。
スカートとソックスの間には
肉付きの良い肌があらわになっている。
私はジリジリとした苛立ちの矛先を彼女に向けた。
信号はまだ変わらない。
私は距離にして7㎝ほど左に寄り
更に半歩前に踏み出すと
鼻から思いっきりメスの匂いを吸い込んだ。
何とも言えぬ甘美な香りが
私の身体を侵食し始めていた。
女は不意に襟足を上げ、
タオル地のハンカチで首元の汗を拭いた。
ウッスラと産毛が生えているのを
私は見逃さなかった。
信号はまだ変わらなかった。
ジリジリとした苛立ちの中で
甘美の匂いを嗅ぎ続けた。
先程見たばかりの産毛を
口に含みたい衝動に駆られ
私は頭の中で、口に含んでみる事を試みた。
『あむあむ』と声にしながら『れろれろ』と舌を動かし、時折甘嚙みを交えながら産毛の触感を楽しんだ。汗の塩っぱさと、メス特有のミルク臭さが入り混じった、なんとも後ろめたさを感じさせる味がした。私は味だけでなく、鼻から流れ込む、その風味さえも自分の中に取り込んだ。
私は頭の中で
この女を心ゆくまで凌辱した。
気付くと信号は青になっていて
私の前にいた男女は、もう間も無く横断歩道を渡り切ろうとしていた。
私は少し足早になり、その後を追うように渡った。
2人は渡り切ると左の方向へと歩き出していた。
男は相変わらずタオルで汗を拭っている。
私は左方向には全く用事がなかったので
2人を追走する事は考えなかった。
私はその場で携帯を取り出し
用のない携帯画面の向こう側に見える女のフトモモを見ていた。
2人が、先の曲がり角を曲がるまで
いつまでもいつまでも
その『絶対領域』を見つめていた。
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