ダブル不倫
第18章 接見
チケット売り場のようなアクリル板で仕切られた六畳ほどの面会室は、面会用にパイプ椅子が三脚並んだだけの殺風景な部屋だ。左手のドアが開く。制服の女性に伴われたジャージ姿の女性が現れた。
――美希……。
ハイという美希の声がして、ドアの方へ小さく頭を下げた。奈々葉と里井の目の前にあるパイプ椅子に腰を下ろす。全く化粧気のないその青白く痩けた顔を向け、深々と頭を下げる。
「美希……」「大丈夫か? 坂村……」
「奈々葉、私、あなたのご主人と……」
美希の目に涙が溢れる。
「美希、何か困っていることはない? 言ってね。必要なモノがあったら……」
「奈々葉、何で……何で怒らないの? 言ってよ。『美希、アンタのこと殺したいほど怨んでる』って……」
美希の手がアクリル板を押した。
「ホントのこと言うと、私、最初はショックで、ショックで自殺も考えたの。だけど、あの時、私も部長と……。だから、あなた……美希だけを責められない……」
奈々葉の頬に涙が伝う。
「……私、奈々葉と部長が羨ましくて……自棄になって……私、あんなにひどいことを……。ごめんなさい、ごめんなさい……」
美希がむせび泣く。
「美希……私、信じてるよ。ね?」
「…………なんで奈々葉、そんなに優しいの? 私、あなたをあんな目に合わせたんだよ」
「大切な親友だからね……」
奈々葉はアクリル板に手のひらを当てた。美希の小さく見える手のひらもそこに重なった。
――美希……。
ハイという美希の声がして、ドアの方へ小さく頭を下げた。奈々葉と里井の目の前にあるパイプ椅子に腰を下ろす。全く化粧気のないその青白く痩けた顔を向け、深々と頭を下げる。
「美希……」「大丈夫か? 坂村……」
「奈々葉、私、あなたのご主人と……」
美希の目に涙が溢れる。
「美希、何か困っていることはない? 言ってね。必要なモノがあったら……」
「奈々葉、何で……何で怒らないの? 言ってよ。『美希、アンタのこと殺したいほど怨んでる』って……」
美希の手がアクリル板を押した。
「ホントのこと言うと、私、最初はショックで、ショックで自殺も考えたの。だけど、あの時、私も部長と……。だから、あなた……美希だけを責められない……」
奈々葉の頬に涙が伝う。
「……私、奈々葉と部長が羨ましくて……自棄になって……私、あんなにひどいことを……。ごめんなさい、ごめんなさい……」
美希がむせび泣く。
「美希……私、信じてるよ。ね?」
「…………なんで奈々葉、そんなに優しいの? 私、あなたをあんな目に合わせたんだよ」
「大切な親友だからね……」
奈々葉はアクリル板に手のひらを当てた。美希の小さく見える手のひらもそこに重なった。