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ダブル不倫

第18章 接見

 トントンと奥のドアを叩く音がした。
 
「そろそろ時間です……」
 
 と、女性警官が促すように美希の背に手を当てる。
 
 里井が自分の腕時計に目をやった。
 
 美希は腰をかがめるように立ち上がる。丸めた小さな背中を押されるように左手にあるドアに歩を進める。
 
「美希、身体に気を付けてね」
 
 美希の顔が不安気に縦に小さく動いて、重厚なドアの向こうに消えた。

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