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ダブル不倫

第18章 接見

「宮崎、俺、社に寄ってくけど、お前はどうする?」
 
「あ、私もちょっと寄りたいところが……」
 
 奈々葉は中央改札につながる階段がある方を指差した。

「じゃあ、宮崎、気いつけてな」

「ハイ、部長も……」

「おう……」

 里井が軽く上げた拳を奈々葉に振った。
 
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 奈々葉は自宅のマンションのエントランスホールにいた。
 
 インターホンを押してみる。
 
 返事はなかった。
 
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 玄関ドアをそっと開く。胸が高鳴った。身体が震え、胃の奥から何かがこみ上げた。
 
 チリひとつない冷たい部屋。生活感はなかった。奈々葉が忘れたバッグが玄関の隅に置いてある。
 
 寝室のドアを開く。
 
 シーツが全て替えられたベッド。臭いまで違うような気がした。
 
 ――このベッドで全裸で信也が美希と愛し合っていたんだ。
 
『ああ……挿ってるぅ……あん……信也のぶっといのが美希のオマ☓コに突き刺さってる』と言う声が奈々葉の耳の奥でリピートする。
 
 気がつくと涙が溢れていた。

 奈々葉はむせび泣く。
 
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 緑色の文字の用紙がドレッサーの上にあった。
 
 ――離婚届。
 
 離婚届には信也の名が埋められていた。奈々葉もそこに自分の名を埋めてバッグに入れる。

 奈々葉は薬指の指輪を外し、ドレッサーの上に置いた。

 奈々葉は離婚届を提出しに向かった。

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