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ダブル不倫

第4章 アノ日の翌日

 菜々葉は昨夜の出来事を美希に全て話した。
 
「えっ、う、ウソ……ちゅ、チュウ……?!」
 
 美希が素頓狂な声を上げる。美希の箸が止まった。周囲の話し声のボリュームが小さくなった。
 
 奈々葉は目だけで辺りを見渡して、人差し指を自分の唇に当てる。顔を縦に振りながら……。
 
「……ホント……なの……」
 
「……で、部長は……?」
 
「…………忘れてるみたい……完全に……それに私……」
 
 ――主人がいるし……。
 
「……二人の恋は険しい……よね?」と、美希が菜々葉の顔を覗き込む。
 
 ――分かってはいるんだけどね。………………。
 
 涙が溢れて美希が滲む。頬を伝った涙が箸を持つ手に涙の滴が落ちた。
 
 美希が自分のポーチからポケットティッシュを渡した。
 
「…………うん……色々……ね?」
 
「……うまく行くといいね? 私、応援していい?」
 
「うん……、ありがと……」
 
 ――でも、自信ないよ。

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