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ダブル不倫

第6章 部長室

 システム営業部は入口を挟んで左手が第一、第二となっており、それぞれ右側に課長の席がある。
 
 奈々葉は第二課に所属しているが、第一営業課長の席よりも奥は彼女にとって未踏の地だった。
 
 奈々葉は咳払いをし、漆黒の重厚な扉をノックする。スタッフたちの視線を感じながら……。
 
 菜々葉は姿勢を正し、扉の向こうの声に耳を傾けた。奥の方で「どうぞ」と言う声が返る。
 
「あっ、失礼します……」
 
 高校生の頃に受けた面接の訓練を思い出す。
 
 暗い煉瓦色の絨毯が敷かれた部屋の奥に漆塗りのデスクが据えてあり、その上には里井の決済を待つ書類が所狭しと散乱している。左手の書棚にはズラリと小難しそうな書籍が’ずらりと並んでいた。
 
「おお、宮崎っ……」
 
 里井が肘掛けのある革張りの社長椅子から立ち上がり、目を細めた。

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