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ダブル不倫

第8章 一時間早く

 先程の里井の唇が蘇る。身体が熱い。
 
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 ――少しだけ……。
 
 奈々葉は膝の辺りまでショーツを下ろした。そのクロッチに小さな円状に粘りが滲んでいる。
 
 奈々葉は冷たい壁に手を付き、身体をくの字に曲げて、自分の一番柔らかく湿った部分に指を這わせた。
 
 ――私、会社のトイレでこんなエッチなこと。
 
 会社の手洗いでそのような行為をする後ろめたさを感じながら、自分の柔らかな部分を弄ぶ。指にテロンとしたモノが絡みつく。
 
 ――凄い……。
 
 指先に粘りが絡む。くちゅくちゅと粘り気が混ざる籠もった音が徐々に大きくなる。
 
「ああ……ん。部長、部長……んっ」
 
 艶めかしい女の声が漏れそうになり、菜々葉は唇を噛み、息を飲み込んだ。
 
 ――ダメ、こんな場所で……。
 
 後ろのほうから前の方へ指を滑らせる。くちゅ、という粘り気の音と共に甘美な感覚が広がる。
 
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 手洗いの入り口から何名かの話し声が聞こえた。化粧品と香水の匂いが広がった。
 
 奈々葉はガラガラとトイレットペーパーを引き出して、指先を拭った。

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