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ダブル不倫

第2章 プロローグ

 午後十時、奈々葉は○☓情報サービスの裏通りにある小さな居酒屋にいた。
 
 カウンター席で、里井がコップ酒を煽っていた。午後七時頃に社を出たので飲み始めてから優に二時間は経つ。
 
 菜々葉もそこに付き合わされていた。
 
 奈々葉がコップに入った氷入りの水を里井の前に置いた。
 
「身体、壊しますよ。部長……」
 
「ベーろおお! ひっく……じょーしに水なんか飲ませんじゃねえよお」

  里井は奈々葉の顔も見ず、手でコップを振り払うとガラスのカップが音を立てて床に飛び散った。

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