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ダブル不倫

第15章 不思議な女性

 数分して、婦人が奈々葉の待つ公園に戻ってきた。バッグから赤い革靴を取り出すと、その踵を奈々葉に向けて揃える。

「これ……履いて……たしか七寸五分(22.5センチ)……くらいだったと思うんだけど、娘が若い頃履いてたの……あなた、履けるかしら……」

 奈々葉の足が革靴にピッタリと納まった。

「あらあら……シンデレラみたいね……」と、婦人は皺のある顔いっぱいに笑みを浮かべた。

 奈々葉の頬が緩む。

「あなた、笑顔がとても素敵だわ」と婦人の指先が奈々葉の溢れた涙を掬う。

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