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ダブル不倫

第15章 不思議な女性


 声が出なかった。

「……これでは歩き辛いわ」と言ったあと、婦人は植込みに腰を下ろした。自分のバッグからミネラルウォーターのペットボトルを取り出す。

「少し沁みるけどね……これが結構効くのよ。傷口に……」

 ――えっ?

 足裏がチクリとした。流れるペットボトルの水が足裏を覆う。

「よかった……血は……止まってるわ。すぐ戻るから、これで押さえていてね……」

 婦人は自分のバッグから取り出したガーゼのハンカチを奈々葉に手渡した。婦人の言う通りに傷口を押さえる。

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