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ダブル不倫

第15章 不思議な女性




 ――重い……身体が重い……。




 奈々葉……?

 ――えっ?

 奈々葉……?

 ――えっ?

 ぽってりと温かい柔らかさに唇が包まれる。

「奈々葉……、奈々葉……?」

「あっ……はい……」

 徐々に焦点が合い始める。霞が掛かっていたようにぼんやりしていた視界が晴れると、高い天井と詠美と目が合う。

「あっ……おはようございます」

「目が覚めた? 奈々葉ちゃん……」

 身体を動かそうとするが、石のように重くて目を動かすのが精いっぱいだ。

「えっ……」

「大丈夫?」

 詠美が心配そうに覗き込んでいる。

「えっ……私……?」

「肺炎……奈々葉ちゃん……肺炎で……」

 白衣を着て、聴診器を首に掛けた高木が奈々葉を覗き込む。高木が聴診器をパジャマの上から当てると、「うん」と大きく頷いた。

「奈々葉ちゃん、今日は眠り姫かしら……ね?」と詠美が白い歯を見せる。

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