無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

＊

　天気もいいし、屋上でお昼をしたら気持ちいいよねー。って浮かれて来たら、

「あぁん気持ちいい。もうダメぇ」
「いいよ。イッちゃいな」

　私とは意味が違う『気持ちいい』を発する女子と、気持ち良くしてるであろう男子の声が。

　高校の屋上で何ヤってんだか――

「なっ……！」

　ついチラ見したら、男子のだらしない顔がそこに。その瞬間、頭をガーンと強く打たれた。

「ちょっと、何してんのよ！」
「げっ、酒井っ！」

　それは――私の大好きな彼氏だった。

　近くで見れば彼は、制服を捲り上げてボインをボヨンと丸出してる女子を跨がせて対面し、自身のブツで下から秘部をクチュクチュと弄くっていた。

　ただただ最悪……。

「んもう誰ぇ？　イクとこだったのにぃ。マジ卍ぃ」

　マジ卍は、私の方だっつーのっ!!


　――電撃破局からの放課後。

「爽やかな顔してボインとＵＷＫかい！」

　シーンとした教室で『ヤケ酒』ならぬ『ヤケコーラ』。炭酸で辛い気持ちに刺激を与えつつ、一人わびしく煽る。と、

「ＵＷＫって何？　新たな48系グループ？」

　突然の声にビクッとした。

　慌てて振り返ったら、同じクラスの男子・藤田だった。

　不思議そうに首を傾げて立っている。

　藤田は、物静かで、みんなと一線を引いているんだよね。

　偏見だけど、こんな話をしたらバカにしそう。でも……今は藤田でもいい。人にすがりたい。

「ＵＷＫってのは、ウワキのことよ。『Ｕ・ＷＡ・ＫＩ』
　実はね……」

　恥を承知で藤田に洗いざらい話した。すると、

「酒井ってスゴいな」
「え、何で？」

「彼氏の浮気現場を目撃したらさ、だいたい怖くて立ち竦んだり、泣き崩れたりしそうじゃん。なのに、乗り込んでその場でスパッと別れたりするって。
　すごく辛かっただろうに、よくやったよ」

　バカにするどころか、気持ちを汲み取ってくれた。

「う……うわーん、藤田ぁ！」

　藤田の温かさが心に染みて、涙腺大崩壊。

「よしよし。聞こえてないフリしてるから存分に泣きな」

　私をおおらかに包み込むその言葉で、涙はもう止まらなくなった。

「どう？　スッキリした？」
「うん……」
「酒井ならもっといいヤツ見つかるよ」

　溢れた笑みに、キュンと弾む。

　失恋したばかりなのに、私……もう見つけたかも。


〈完〉