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*。・。*1ページだけのストーリー集*。・。*

第6章 私を見つけて



「みんなーどこぉ!?」

 赤ずきんのコスプレをした私は、わちゃわちゃする人ごみの中で、友達探しにオロオロ。

 ハロウィンイベントで迷子なんて迂闊。私、来年高三よ? また小学生扱いされるぅー。

 それにこのミニ身長のせいで、周りの人が『何とかの巨人』に見える。油断したら食われちゃう!? なんて。

 お願い、早く私を見つけてぇ……


「見つけたぞー赤ずきん! がぉー!」
「ひゃあっ!」


 急に私を高い高いしたのは――え、『狼男』!? 飲み込まれる!? なんて。もちろんコスプレだけど……誰?

 でも、男らしい顔をしていて、狼のコスプレがよく似合ってるなぁ……

「……あ、悪い。妹と間違えた」

 見惚れていたら、狼男は私を飲み込まずに一言ポツリ。

「へ? 妹?」
「君も小学生?」
「ちょっ……」

 わっ……持ち上げたまま間近で見てくるぅ! めちゃハズい!

 普段だったらかなりムッとする小学生発言なのに……なぜか胸がキュウっと締まるだけ。

「私っ、高校生ですっ」
「マジか。小さくて可愛いから小学生かと……」

 カワッ……?

「あ。ずきんと同じ顔色になった」
「いっ!?」

 やめてぇ! 初対面なのに気持ちを弄ばないでぇ!

「えっと……妹さん『も』迷子ですか?」
「いや。妹は母親と一緒で……ん? 『も』ってことは……君、迷子?」
「うっ……」

 しまった。自らバラした。

「ははっ! 高校生なのに本当小学生みてぇー」
「ほっといてよ!」
「悪い意味じゃなくて、可愛いって意味だって」
「っ、だから……」

 お願いっ、これ以上その気にさせないでぇ!

「あ、いたいた! おーい!」

 はっ。その声はっ――

「あーん、やっと会えたぁ!」

 友人達が手を振りながらこっちに向かってくる。この高い高いが結構目立ってたみたい。

「……どうやら見つかったみたいだな」

 狼男は私をそうっと下ろした。けど……何か私、離れ難く思ってる?


「じゃあな。また来年も見つけてやるよ。
 可愛い赤ずきんちゃん」

「あ、待っ――」


 大きな手が頭にぽんっと乗ったと思ったら、狼男はあっという間にいなくなってしまった。

 名前ぐらい聞きたかったのに……。

 でも、ありがとう……狼男さん。


 来年のハロウィンも、私を見つけてね。


〈完〉

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