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第1章 おかえり





「…お前は、どうやねん」

「俺?」



少しの沈黙の後、こう言った。



「俺、蘆笙が俺のこと好きや言うてくれんねやったら
俺ももう一回蘆笙の事好きになりたい」


もう一回、そう言った。

今はもう恋愛感情なんてのは無い。
そういう事。
でも、好きになりたい。
簓は確かにそう言った。
ずっと簓を想ってた俺にとって、それは凄く嬉しくて、
今すぐに腕の中へ閉じ込めたくなる。



「…アホ、そこはずっと好きやった、やろが
ムードもクソもないな」

「…そやなぁ、ゴメンな、でもな、元相方として
思えるようになるまで、めっちゃ時間かかってんで」




俺の痛いとこを突いてくる。




「…それは、すまんな」

「謝らんといてや、それで…蘆笙はどうなん」

「……俺は…お前の事忘れたことなんか無いで」

「蘆笙…おおきに、」

「…礼言われる事なんかしてへんぞ」



少し恥ずかしくなって、顔を背けると
座っている俺の膝に簓が跨る。


「さっ、おまっ」

「ろしょー、シたい?」

「な、何やねん急に盛りの着いた猫かお前はっ」



身体を押し返そうとしたが、簓はそれを阻止して
こう言った。



「ろしょー、はぐらかさんといて、
なあ、シたい?」



耳元で甘く囁かれ、俺の理性は保たれるはずも無く。


簓を組み敷いた。




「…ええねんな、簓」

「…ええよ」




そう言って微笑む簓はどこか哀しげな表情で、
俺は違和感を覚えた。


でも、今そんな事を考える余裕なんて
俺には無く、

少し震えながら簓に口付ける。



「んッ」


ずっと想ってた奴が今、俺の目の前に居る。
一度捨てた俺をまた受け入れてくれてる。

それだけで幸福だった。


















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