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第1章 おかえり










校庭に着くと、そこは他のクラスからの生徒も集まり
人混みになっていた。




「……なあ、有名人てどこにいるん?」



近くに居た生徒に、状況を聞く。


「あ、先生もやっぱ気になるから見に来たん?
でもなー、前の方やからあんまり見えんのよ…」



確かに、この人混みの中では
身長が高い方の俺でもその人物を特定するのは難しい。




「……そうかあ、ちょっ、皆道あけてくれるか」




緊張しながらも言葉を発し、人混みを掻き分けて
その有名人にここに来た訳を聞こうとした。


その時、




「わ、私めっちゃファンなんです!
……えっ?!蘆笙先生?
おるよおるよ!!
なになに?蘆笙先生に用なん?!」



感情が高ぶった生徒の声が校庭に響き渡った。






えっ!お、俺!!?!
な、何も聞いてない何も聞いてない!


一瞬にして思考回路がぐちゃぐちゃになる。
有名人が俺になんの用やねん!


俺の名前が出たからか皆がこちらに視線を向ける。




み!み、見るな見るな!!



「あ、あれが蘆笙先生!
私らの自慢の先生なんよー!
ねー!
蘆笙先生こっちこっち!」



その生徒が飛び跳ねながら俺に手招きをする。


周りの皆も事情が分かったのか、すんなりと
道を開けた。






「……っ!!!!」







その開けた視界に現れたのは、
碧い髪、奇抜なスーツを身に纏い
爽やかに微笑む男……





















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