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第1章 おかえり

 





生徒達が帰った校庭に二人。
少しの間沈黙が流れた。



「……ろしょー?」



沈黙を破ったのは簓。



「な、なんや……」

「……なんやてさみしーな、ちゃんと目見てーな」

「み、見とるわ……お前の方がチビやねんから
ちゃんと見えてますー」

「なんでやねん。見てないやないか
元相方やないか、しかもこれからはチームやで?
釣れん事言いなや」

「…お前、何しに来た…」



そう言いかけた時、簓が俺との間を詰めた。

あっ、と思った時にはもう遅く、
簓の持っている扇子で顎を掬われ、
視線が絡む。


「……っ!?」

「はい、ろしょーの負け〜」



ケタケタと、腹を抱えて笑う。



「……とき…」



笑ったかと思えば直ぐに首を傾げ言葉を繋いだ。



「……は、なんやて?」

「あ、いや、懐かしいなーて…色々」

「……は、はあ、」



急な振りに少し戸惑いながら答えると、



「……なんや、その冷たい返事は!」



簓は頭を掻きながら少し俯いてそう言った。


「……お、お前それより頼みってなんや」

「……あ!おお、それやけどな
蘆笙も授業あるやろ?
邪魔したアカンやろうし
今日仕事終わったらここまで来てくれへん?」



簓は俺に小さなメモを差し出した。



「……」

「そんな怪しまんでもぉー!
ここ、俺の住所、
ここじゃ時間取ってもうたら悪いから言うとるだけや!」

「……ささ、ら」

「よし!
もうそろそろお前も行かんとな!
話はその後な!
じゃあ、待ってるからな!
お邪魔しましたー!ほなねー!」


簓は人の話を聞こうともせず、俺に背中を向け
扇子をブラブラと振りながら学校を後にした。




「…あんのアホ…」






簓の住所が書かれたメモを握りしめた。


































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