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堅実メイドの献身

第5章 暎人について

落ち着いて、呼吸を整える。
今何が起きた?
壁ドンされてキスされて、、、それで、、

思考回路を整理する。

ー もう、何やってるの私。

はあぁ。深いため息をついて天井を見上げる。
完全に途中から暎人のペースで持って行かれてしまった。

ー 不覚。

だが、ため息を突いている場合ではない。

雅:(暎人様は広間で朝食を召し上がるそうです。)

スマホで配膳のものに連絡する。

少し気だるい体を気力で動かし立ち上がると、雅も広間に向かった。

ーーー

暎人は朝食を食べたらすぐに会社に向かった。

雅も見送りに立ち会ったが、暎人も朝は忙しいのか、早々と身支度を終え出ていった。特に言葉を交わすこともなかったのが逆に気まずくならずによかった。

ーさて、やりますか。

暎人が出かけた後、一人で部屋に戻ると、さっそく掃除を始める。脱がれた服やベッドシーツなどを集め洗濯場に持っていく。

帰ってくると部屋中の埃を払い、棚や調度品を拭き上げる。
それが終わると、今度は浴室だ。
換気をしながら汚れを落とし、水気の残らないようしっかり拭きとる。
鏡や金属部分がピカピカになっているのを確認して、浴室をでる。
部屋に戻ると床に掃除機を念入りにかける。

ー ふぅ、ここまでやって昼前か。

大体の時間を把握する。
今までは、屋敷内の様々な仕事にシフト制で関わってきたが、暎人のお付きになったことで、暎人の身の回りのことに集中する様な内容に変更になった。

ー 午前中に部屋のことは終わらせよう。

一旦部屋を出て、洗濯場にまた向かう。
広い屋敷なので、この中を歩き回るだけでも運動になる気がする。

「あの、暎人様の衣類はどちらに?」

「あっちの棚に置いてあるよ。」

担当の者に聞くと、あっちと指差される。

「ありがとうございます。」

礼を言って指差された棚の方に行く。
前日洗濯したものが、綺麗に畳まれた状態で置いてある。

「みぃーやびせんぱいっ!」

後ろから、ぎゅっと抱きつかれる。

「おはようございます。雅先輩。」

抱き着きながら、ひょこっと顔を覗かせた。

「沙樹。びっくりするでしょ。」

振り向くと後輩の沙樹がいた。
朝から元気だ。

「そんなことより、暎人様のお付きになったんですよね⁉︎いいなぁ〜羨ましいです。」

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