私、普通の恋愛は無理なんです。
第4章 妄想
…………既読はつかなかった。
まあ、いいか。こう言うとき、セフレというのは全く当てにならない。と、次の男、その次の男にメッセージを入れてみる。手当たり次第にラインを送る。
…………やっぱり既読はつかない。
……もう、どいつもこいつも……。文庫本の表紙のように手帳型スマホケースのふたを閉めた。
:
しばらくして、ポーンとラインの受信を知らせる音が軽やかになった。手の中でスマホがブーンと震える。
よし! 私は大きい魚を釣り上げたような気持ちになった。
すぐにでもラインのチェックがしたかった。けど、いかにも「待ってました」感が強くて悔しい。これはいつものこと。だから、ラインのチェックはしばらく待つ。もう一本タバコに火を点けて、それを吸い終わったとき「新着メッセージがあります」の吹き出しを指先で弾いた。
「えっと……」
セミロングの髪を束ねてポニーテールにして気合いを入れてから、残ったアイスコーヒーを飲み干す。化粧ポーチの中の薄いステンレス製名刺入れを爪で小さく開いた。小さなナイロンの小袋が数枚を覗けた。コンドームだ。身体の奥が熱い。
「……よし」
暗かった画面が明るくなった。
「は……?」
香織のサムネイルがフワリと浮かび上がった。顔いっぱいの笑顔で映った丸顔のサムネがヤケに嬉しそうに見えた。「なんでアンタなの」とつぶやいて、スマホの画面を指で弾いた。
――今から里井部長と飲みに行ってきまーす。
かわいい猫がビールでカンパイ、というスタンプと共に……。
「あっそう」とスマホに突っ込む。でも、私も奈々葉みたいに素直だったら。
奈々葉のメッセージに返信はしなかった。
まあ、いいか。こう言うとき、セフレというのは全く当てにならない。と、次の男、その次の男にメッセージを入れてみる。手当たり次第にラインを送る。
…………やっぱり既読はつかない。
……もう、どいつもこいつも……。文庫本の表紙のように手帳型スマホケースのふたを閉めた。
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しばらくして、ポーンとラインの受信を知らせる音が軽やかになった。手の中でスマホがブーンと震える。
よし! 私は大きい魚を釣り上げたような気持ちになった。
すぐにでもラインのチェックがしたかった。けど、いかにも「待ってました」感が強くて悔しい。これはいつものこと。だから、ラインのチェックはしばらく待つ。もう一本タバコに火を点けて、それを吸い終わったとき「新着メッセージがあります」の吹き出しを指先で弾いた。
「えっと……」
セミロングの髪を束ねてポニーテールにして気合いを入れてから、残ったアイスコーヒーを飲み干す。化粧ポーチの中の薄いステンレス製名刺入れを爪で小さく開いた。小さなナイロンの小袋が数枚を覗けた。コンドームだ。身体の奥が熱い。
「……よし」
暗かった画面が明るくなった。
「は……?」
香織のサムネイルがフワリと浮かび上がった。顔いっぱいの笑顔で映った丸顔のサムネがヤケに嬉しそうに見えた。「なんでアンタなの」とつぶやいて、スマホの画面を指で弾いた。
――今から里井部長と飲みに行ってきまーす。
かわいい猫がビールでカンパイ、というスタンプと共に……。
「あっそう」とスマホに突っ込む。でも、私も奈々葉みたいに素直だったら。
奈々葉のメッセージに返信はしなかった。