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美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜

第2章 私のお兄ちゃんは過保護なんです



「何、告白が良かったの?」
「えっ!? いや……んー別にそう言う訳ではないけど……」

箸を止めたお兄ちゃんが、真剣な顔をして聞いてくるから……
何だか恥ずかしくなって少し顔を俯かせる。
すると、私の腰あたりにまとわりついているひぃくんとバチッと目が合った。

「花音……お嫁になんて行かないで……」
「……」

ウルウルとした瞳で上目遣いをしてくるひぃくん。
まだ訳のわからない事を言っている。

「ーー花音。また昨日みたいに男に呼び出されたら、俺にちゃんと言えよ」

お兄ちゃんの声に顔を上げると、真剣な顔のままそう告げられた。
そしてギロリとひぃくんに視線を移して睨むと、ひぃくんの首根っこを掴んで私から引き離す。

「なんで?」

私の声に再び視線を私に向けたお兄ちゃんは、ひぃくんの首根っこを掴んだまま口を開いた。

「一人じゃ危ないから」

危ない?
私は昨日危なかったの?
危なそうな人には見えなかったけど……

でもお兄ちゃんがそう言うなら、私は危なかったのかもしれない。

「うん、わかった」

お兄ちゃん、ありがとう。
私は感謝の気持ちを込めて笑顔で返事をした。

お兄ちゃんは昔から優しい。
いつだって私を助けてくれる。
そんなお兄ちゃんは、昔から私の自慢なのだ。

お兄ちゃんが私のお兄ちゃんで本当に良かった。
そう思うと自然と顔が綻《ほころ》ぶ。

私は食べかけだったお弁当を頬張りながら、ひぃくんとお兄ちゃんが戯《じゃ》れている姿を見て微笑んだ。

ーーこの時の私は知らなかった。

『結城花音に告白すると、その兄もついてくる』

そんな噂が学校中に広まっていたなんて……。

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