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美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜

第19章 ★君とハロウィンパーティー



「お前どんな趣味してるんだよ……」
「……え?」

私の趣味ってそんなに変なの?
王子様は女の子の憧れでしょ、普通。

「ーーかのーん! ハッピーハロウィーン!」

ーーー!!!?

お兄ちゃんを突き飛ばして入って来たひぃくん。

その姿に、リビングにいた全員が固まった。

全身真っ白なタイツに身を包んだひぃくん。
その顔は……馬。

いや、正しくは馬の首からひぃくんの顔が出ている。

え……。

その姿に、私も含め全員がドン引く。

ピッチピチのタイツで馬の頭を着けたひぃくん。

何をどうしたらそうなった……。

私は確かに王子様をリクエストした。
馬ではない。

……何故?

「花音とペア仮装ー」

そう言って、嬉しそうに私に抱きつくひぃくん。

思わず顔が引きつる。

どこがペアなの……?
……お姫様と馬のどこがペアなの、ひぃくん。

それよりそのピッチピチのタイツ……。
キモすぎて笑えない。

私の目の前で、顔を引きつらせた彩奈が口を開いた。

「あ……あ、あの……響さん。その仮装は……?」
「え?……馬」

ニッコリ微笑むひぃくん。

……いや、馬はわかりますとも。
だから何故馬になったの……?

ひぃくんの答えに彩奈も同じ事を思ったのか、顔を引きつらせながらも再度訊ねる。

「何故馬に……?」
「だって花音が言ってたから。白馬になった王子様がいいって」
「……」

ひぃくん違うよ……。
……白馬に乗った、王子様だよ。

周りがその姿にドン引く中、馬の頭を揺らしながらニコニコと微笑むひぃくん。

ひぃくん……。
そのメンタルは尊敬に値するよ。

勘違いとはいえ、私の為にこんな仮装までしてくれたひぃくん。
私はやっぱりそんなひぃくんを嫌いになれない。

ピッチピチのタイツを着た変態みたいなひぃくん。
その姿に、私の顔は引きつったまま固まる。


ごめんね、ひぃくん。
私、上手く笑えない……。

でもね、嫌いなわけじゃないんだよ。

ひぃくんがどんな姿をしていても……

それでも私はあなたが大好きですーー。




ー完ー


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