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美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜

第3章 君はやっぱり変でした



「わー結構高いね」
「え、めっちゃ楽しそう」

斗真くん達がキラキラと目を輝かせる中、私は少し足を震えさせる。

今私達は、ウォータースライダーへ来ていた。
何故かひぃくんも一緒に。

一人で来たと言うひぃくんに『じゃあ一緒に遊びますか?』なんて言ってしまった斗真くん。
ひぃくんに甘すぎだよ……。

結構な高さのあるウォータースライダーに、やっぱり辞めとけばよかったと後悔する私。
実は高所恐怖症だったりする。

「花音大丈夫?」
「だから辞めときなって言ったのに」

心配そうに私の顔を覗き込むひぃくんと、私の横で呆れたような顔をする彩奈。

だって……。
せっかく皆で来たのに、ひぃくんと二人で待っているなんて嫌だった。

でもいざ来てみると、下から見るより遥かに高い高さに、やっぱり辞めようかと気持ちが揺らぐ。

どうしよう……。どうしよう……。

どうしようかと悩んでいる内に、いつの間にか私達の順番になってしまった。

「花音ちゃん大丈夫?やっぱり辞める?」

心配そうに私の顔を覗き込む斗真くん。

「うん、やっぱり辞める」そう言おうと私が口を開いた瞬間、グイッと横から腕を引かれる。

「花音、二人用があるよ。これなら怖くないよ」

そう言ってニッコリ微笑むひぃくんが、そのまま私を抱え上げるとゴムボートへ乗せた。
私の後ろへピッタリと座るひぃくん。

「ひぃくん……私、やっぱり辞め……」
「大丈夫だよ、ギュッてしててあげるから」

後ろをチラリと見ると、ひぃくんはニッコリと微笑んで私に腕を回した。
ギュッと抱きしめられる身体。

えっ……?
視線を自分の胸元へ移すと、ひぃくんの手が私の胸を……
胸を掴んで……る。

そう認識した瞬間、グラリと身体が揺れ、そのまま私達を乗せたゴムボートが勢いよく滑り出した。

「いやーーっっ!!!」

私の大絶叫を響かせながら、グングンと加速してゆくスピード。
もちろん怖い、凄く怖い。
でも、私の胸元にあるひぃくんの手はもっと気になる。
何で胸なんか掴むの、ひぃくんのバカ!

「キャーーッ!!!」

文句を言いたいのは山々だけど、それどころではない私は悲鳴をあげながらスライダーを滑ってゆく。

何度も何度も絶叫した私は、下へ到着した時には魂の抜け殻のようになっていた。


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