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美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜

第5章 そんな君が気になります



膝を抱えて小さく座った私は、目の前の光景を眺めて大きく溜息を吐いた。

気付けばあっという間にもう六月で、今私の目の前では体育祭が開催されている。
運動が苦手な私は、この日が来るのが嫌でたまらなかった。

ついにこの日が来てしまった……。
避けて通れる道があるわけでもなく、ガックリと肩を落とすと再び溜息を吐く。

何の為に体育祭なんてあるんだろう。
何で風邪ひかなかったのよ……
私のバカ。
自分の健康すぎる身体を呪った私は、目の前で繰り広げられている競技を見た。

今行われているのは、三年生による借り物競走。
確かひぃくんも出ると言っていた。

何処にいるのかな?
キョロキョロと見渡すと、笑顔で男の子と話しているひぃくんが目に留まった。

どうやら次に出場するらしいひぃくんは、スタート地点で軽くストレッチを始める。

合コンで助けられて以来、何だかひぃくんが気になる私。
そのままひぃくんを眺めていると、隣にいる彩奈が話し掛けてきた。

「どうしたの? 響さんの事ジッと見つめちゃって」

クスクスと笑う彩奈に、急いでひぃくんから視線を外して俯く。

「み、見てないよ……ひぃくんなんか」

相変わらずクスクスと笑いながら「そう? 私の勘違いかー」と言った彩奈。
本当は気付いてるくせに私をからかっているのだ。

事実、勘違いなどではない。
私はひぃくんを見つめていた。

徐々に早くなってきた心拍数に、何だろうこれ……
と思いながらそっと胸に手を当てる。

最近の私はおかしい。
ひぃくんを見ると何だか胸が苦しくなるのだ。

変な病気だったらどうしよう……。

そんな事を考えながら、顔を上げた私は再びひぃくんを見つめた。


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