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美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜

第5章 そんな君が気になります



スタートラインに立つひぃくんと目が合い、一瞬ドキッとする。

き、気のせいだよね。
ひぃくんはともかく、私は大勢いる中で座っているのだ。

そんなに一瞬で私を見つけられるわけがない。
すると、ひぃくんがヒラヒラと手を振った。

えっ!?
わ、私に手を振ってるの?
キョロキョロと左右を見渡してみる。

「振り返してあげないの?」

隣で私を見ていた彩奈が、そう言ってクスリと笑った。

本当に私に振っているのだろうか……?

そう思いながらも、ひぃくんに向けて小さく手を振ってみる。
すると、それに応えるように笑顔のひぃくんが大きく手を振った。

本当に私に振ってたんだ……。
よく見つけたな、と感心する。

未だにブンブンと大きく手を振るひぃくん。
先生に注意されてるし……。

再びスタートラインに整列したひぃくんは、相変わらずニコニコとしていた。
大丈夫かな……
とちょっと心配になる。

ドンッというピストルの音と共に、一斉に走り出したひぃくん達。
その中でも群を抜いて早いひぃくん。

あんなに余裕そうに走っているのに……。

昔からスポーツも勉強も何でもできてしまうひぃくん。
どこか余裕そうなその顔に、心配して損をしたと小さく息を吐いた。

会場のあちこちからは、ひぃくんを応援する女の子達の声が聞こえてくる。

相変わらず凄い人気だな……。
そう思うと、なんだか少し気持ちが沈む。
なんだろう……これ。

目の前で走るひぃくんを見つめ、膝を抱えた腕にキュッと力を込める。

こうして見ると、やっぱりカッコイイなぁ……。
中身はちょっと変だけど。
やっぱりカッコイイんだよね、ひぃくんは。
だから周りが騒ぐのもわかる。

そんな事を思っていると、バチッとひぃくんと目が合った。




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