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美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜

第6章 君はやっぱり凄く変



「遊びに行きたぁーい!」

リビングで大声を出してジタバタとする私。

学校も夏休みに入り、毎日遊べるから嬉しい。
そう思っていたのに、今私はお兄ちゃんに監禁されているのだ。

その監禁生活も今日で七日目になる。
夏休みを一週間も無駄にしてしまった。

ーーーポコンッ

「痛っ!」
「遊びたいならさっさと宿題やって」

丸めたノートで頭を殴られ、口を尖らせながら頭を摩《さす》る。

「鬼」

チラッとお兄ちゃんを見ると、ポツリと小さく呟く。

本当は大声で叫びたいけど……
お兄ちゃん怖いから。

「あっそ。じゃあ一人でやりな」

そう告げると、椅子から立ち上がって歩き始めたお兄ちゃん。

私は慌ててお兄ちゃんの腕を掴むと、顔を見上げて口を開いた。

「嘘ですお兄様、手伝って下さい。私を一人にしないで……」

そんな私を見てプッと笑ったお兄ちゃんは、再び私の横に座ると宿題を見てくれる。

いつも夏休み最終日にひぃくんに泣き付いている私。
今回はそんな事にならない様にと、最初に終わらせるように言われたのだ。

ひぃくんだったら全部代わりにやってくれるのに……。

今回も実はひぃくんに期待していた私。

『響は甘やかすからダメ!』

とお兄ちゃんに言われてしまった。
なんて不幸な私……。

お兄ちゃんはスパルタなのだ。

幸い、何だかんだでお兄ちゃんも手伝ってくれているから、何とか今日で終わりそう。

スパルタだけど、優しいお兄ちゃん。

そんなお兄ちゃんは、自分の宿題を二日で終わらせてしまった。
なんて羨ましい頭脳……。

同じ血を分けているとは思えない。
ポンコツすぎるよ、私。

高校受験だって、お兄ちゃんとひぃくんがいなかったら絶対に受かっていなかったと思う。

「お兄ちゃん、ありがとう」

隣にいるお兄ちゃんをチラリと見ると、私と目が合ったお兄ちゃんは優しく微笑んだ。

「あと少しだから頑張ろうな」

そう言ってポンポンと頭を撫でてくれる。

私はお兄ちゃんに向かって「うんっ」と返事をすると、その後もの凄い集中力で宿題をこなしていったーー。

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