テキストサイズ

美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜

第6章 君はやっぱり凄く変



「まだ入ったばかりだからダメだよ。遠慮しないでもっと楽しんでねー」

ひぃくんはそう言うとニッコリ微笑んだ。

遠慮なんてしてない……。
こんなの楽しめないよ……ひぃくん。

いつまで続くのだろう……。
そう思った私は、相変わらず助けてくれないお兄ちゃんに視線を移す。

気まずそうな顔をしながら私達を眺めているお兄ちゃん。
私の視線に気が付くと、目を泳がせてから視線を逸らした。

酷い……。
あんなにドン引いてたくせに。

「ーーあら、花音ちゃん楽しそうね」

ーーー!?

突然聞こえてきた声に驚いて振り向くと、玄関前にご近所の田中さんがいた。

私達を見てクスクスと笑うと、そのまま庭へと入ってくる。
その田中さんの手にはスイカが。

田中さんに気付いたお兄ちゃんが、リビングから出ると口を開いた。

「あ、こんにちは」
「こんにちは、翔くん。今朝ね、田舎からスイカが届いたの。良かったら皆で食べてね」

そう言った田中さんは、私とひぃくんに視線を移すと口を開いた。

「可愛いわねー」

そう言ってクスクスと笑う。

なんて事だ……。
庭なら誰にも見られないと思っていたのに……。

田中さんの横に視線を移すと、小学三年生の陸くんが私を見ていた。
とてもドン引いた顔で……。

「可愛いねー花音」

ひぃくんはそう言うと、手に持ったアヒルの玩具のクチバシで私の頬を突《つつ》いた。

こんなに小さな子供にドン引かれる私って一体……。

放心状態のままお兄ちゃんを見上げると、お兄ちゃんは憐《あわ》れむような目で私を見ている。

あぁ……お兄ちゃん。
今日から私はご近所中の笑い者なんだね……。

そんなに憐《あわ》れまないで。
余計に辛いよ……。

未だに私の頬をツンツンとアヒルで突《つつ》くひぃくんは、私の隣で「楽しいねー」と嬉しそうな声を出す。

何で海に行きたいなんて言ってしまったのだろう……。

ツンツンと頬を突《つつ》かれる私は、今朝の自分の言葉を後悔しながら、ただ呆然とお兄ちゃんを見つめていたーー。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ