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美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜

第7章 君は私の彼氏でした!?




「わぁー凄いっ!人がいっぱいだね!」

沢山の人で埋め尽くされた海岸を見て、私は驚きの声を上げた。

八月に入って夏休みのピークを迎えた今、目の前の海岸は家族連れや若者達で溢れかえっている。

「花音、目の届くとこにいろよ」
「うんっ!」

心配そうに私を見るお兄ちゃんに返事をすると、彩奈に視線を移して口を開いた。

「彩奈、行こっ!」

私は笑顔でそう言うと、彩奈の手を取って海岸へと続く階段を降りて行く。

「よく海なんて許してもらえたね」

相変わらずクールな彩奈は、私の顔をチラリと見ながら普段と変わらない表情でそう言った。

「うん、ちょっと色々あってね……」

そう言って苦笑すると、彩奈は「ふーん」と言いながら海岸へと視線を移す。

子供用プール事件の後、私を憐《あわ》れんだお兄ちゃんは海に行く事を許してくれたのだ。

『絶対に俺の目の届くところにいる事』

そう条件を付けたお兄ちゃん。

本当は学校の友達と来たかったけど……
仕方ない。
海に行けるなら良しとしよう。

そう思った私は今、勝手に付いて来たひぃくんと、私が誘った彩奈と、四人で近くの海へ遊びに来たのだ。

海岸へ着いた私は、早速彩奈と二人で服を脱ぎ始める。
水着は着て来たので、あとは洋服を脱げばいいだけ。
着替えを始める私達の横では、お兄ちゃんとひぃくんがパラソルの準備をしている。

「何なの、それ」

着替えの終わった彩奈が、私を見て口を開いた。

「……だって、お兄ちゃん達が……」

太腿まであるダボダボのTシャツを着た私。
勿論、下には水着を着ている。
でも脱げないのだ。

人前で絶対に水着になってはダメだと、ひぃくんが昨日自分のTシャツを渡してきた。
それにはお兄ちゃんも賛成だった様で、今朝、嫌がる私に無理矢理着せたのだ。

最初はTシャツを着ていなかった私。
そのまま出掛けて、海に着いた時に家に忘れたと言おう。
そんな風に考えていた。

出掛ける直前に服を脱がされた私は、お兄ちゃんにTシャツを着せられてしまった。
妹の服を無理矢理脱がすなんて最低だと思う。

それにしても、何でバレてしまったのだろう。
お兄ちゃんには私の考えは全てお見通しの様だ。
……本当に恐ろしい鬼。

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