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美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜

第8章 そんな君が大好きです



私の言葉に呆れた様な顔をするお兄ちゃんは、小さく溜息を吐くと口を開いた。

「当たり前だろ。そんなんじゃ他の男に騙されるぞ?……俺はお前が怖いよ。何でそんなのもわからないんだよ」

お兄ちゃんはそう言うと、片手で額を抑えながら私を見た。

……お兄ちゃんの方が怖いよ。
鬼のくせに。
口には出せないので、私は心の中で呟く。

どうせ私はバカですよ……。
不貞腐れて顔を俯かせると、そんな私を見たお兄ちゃんが口を開いた。

「花音、頼むから俺から離れるなよ?」
「……はい」
「男と二人きりで会うなよ?」
「……はい」
「優しそうに見えてもダメだからな?」
「はい……」

何だか悲しくなってきた……。
私ってそんなにバカなの?
まるで子供扱い……。
そう思った時、ポタリと涙が落ちた。

「泣くなよ……」
「だってっ……お兄ちゃんがっ……」
「キツイ言い方して悪かったよ。ごめんな?」

お兄ちゃんはそう言ってポンポンと優しく頭を撫でてくれるけど、その優しい手に余計に涙が出てきてしまう。

「私っ……バカじゃないもん」
「花音はバカじゃないよ。ちょっと天然なだけだよ」
「……」

慰められているのかよくわからない言葉に、思わず何も返せなくなる。

それでも、頭を撫でてくれるお兄ちゃんの手はとても優しくて、私はボロボロと泣きながら「お兄ちゃん、お兄ちゃん」と何度も口にしたーー。


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