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美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜

第8章 そんな君が大好きです



「ねぇ、お兄ちゃん。付き合うって具体的に何すればいいの?」

夕食を食べていたお箸を止めると、お兄ちゃんの様子を伺う様にチラリと見る。

海に行ってから三日、私がずっと悩んでいる事。
……付き合うって何?

彩奈に聞いてみると「いつも通りでいいんじゃない」と言われてしまった。
本当にそれでいいのだろうか?

「……はっ?!」

目の前のお兄ちゃんは驚いた顔をすると、口を開けたまま私を凝視する。

はって何よ……。
ちゃんと答えて欲しい。
これでも一応、お兄ちゃんに聞くのは凄く恥ずかしかったんだから。

「花音……誰かと付き合うのか?」
「え?」

急に真剣な顔をするお兄ちゃん。

何言ってるの?
私もうひぃくんと付き合ってるのに。
……変なお兄ちゃん。

「誰って……私ひぃくんと付き合ってるんでしょ?」
「はっ?!!」

私の言葉に、再び驚いた顔をするお兄ちゃん。

そんなお兄ちゃんがちょっぴり面白くて、私は思わずクスクスと笑ってしまう。
そんな私を見たお兄ちゃんは、顔を元に戻すとギロリと私を見た。

……あ、あれ?
ちょっと鬼が……。

鬼の片鱗をうかがわせるお兄ちゃんに、私の顔は瞬時に引きつる。

「あ……き、今日の海老フライ美味しいねー。お兄ちゃん本当に料理が上手。す、すごーい!」

お兄ちゃんのご機嫌を取るために言った台詞が、もの凄く棒読み状態になってしまい、焦った私は笑顔を引きつらせた。

お兄ちゃんの視線が痛い……。

ヤ……ヤバイ。
どうすればいいの……ピンチッ!

堪らず俯いて目を瞑《つぶ》ると、お兄ちゃんの盛大な溜息が聞こえてきた。

「花音、響の言った事本気で信じてるのか?」
「……へっ?」

顔を上げた私は、素っ頓狂な声を出してお兄ちゃんを見る。

「え……違うの?」

そう尋ねると、お兄ちゃんは再び盛大な溜息を吐いた。

「あの時嫁に行くなんて言ったか?……第一、付き合うとも言ってないだろ?」
「あ……うん、言ってない。……じゃあ付き合ってないの?」

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