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美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜

第8章 そんな君が大好きです



「好きなんだね、響さんの事」

私の顔を見た彩奈は、そう言ってとても優しく微笑む。

そっか……私……
ひぃくんの事が好きなんだ。

そう認めると、何だか胸がスッと軽くなった気がした。

「……うん、好き……」

小さく呟くと、私を見つめる彩奈はニッコリと微笑んだ。

「やっと自覚したね」

でも……
自覚したからってどうすればいいの?

私は彩奈から視線を外すと、女の先輩と一緒にいるひぃくんを見つめる。

やっぱりチクリと痛む胸に、私はキュッとひよこを抱きしめた。
とその時、ひぃくんが女の先輩と一緒に歩き出した。

そのまま皆のいる場所から遠ざかってゆく二人。

え……何処に行くの?

「告白かもね……」
「……えっ……」

あの人と付き合っちゃうの……?
もう……ひぃくんと一緒にいられなくなっちゃうの?
……そんなの嫌。
絶対に嫌……っ!

そう思った私は、気付けば勢いよく走り出していた。

後ろで彩奈が私を呼んでいる声が聞こえるけど、それでも私は止まる事なく走った。

どこ……?
どこにいったの……ひぃくん。

人気のない場所でキョロキョロと辺りを見回す。

「ひぃくん……どこにいるの……」

心細さと悲しさで涙が出そうになる。

「ーー花音!」

俯いていた顔を上げると、私の方へ駆け寄ってくるひぃくんの姿があった。

とても焦った顔をしているひぃくんは、すぐに私の元へたどり着くと、心配そうに私の顔を覗き込みながら口を開いた。

「こんなところで何してるの?一人でいたら危ないよ」
「ひぃくん探してたの……嫌……っ」

そう言って突然しがみついた私。

ひぃくんはそっと私を抱きしめると、私の頭を優しく撫でてくれる。

「花音、どうしたの? 嫌って何が嫌なの?」

グズグズと泣き始めた私に、優しく話し掛けてくれるひぃくん。

「ひぃくんいなくなっちゃ嫌ぁ……」
「大丈夫だよ、いなくならないよ」
「私……ひぃくんが好きなの……。ずっと一緒にいたい……っ」

私がそう伝えると、私の頭を撫でていたひぃくんの手がピタリと止まった。

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