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美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜

第9章 君は変な王子様



いよいよ迎えた学園祭本番。
一日目はなんとかお兄ちゃん達に見つからずに済んだ。

問題は二日目の今日。
一日目と違って、一般客にも開放される今日は、忙しくなる事を予想してシフトが細かくなっていた。

その細かく組まれたシフト割りに、私はとても怯えていた。
細かく休憩はあるものの、昨日の二倍は働く事になる。

つまり、それだけ見られる可能性も上がるという事だった。

私は鏡の前に立った自分の姿を眺め、大きく溜息を吐いた。

「こんなの絶対に見せられない……」

丸い尻尾付きのモコモコとしたショートパンツに、同じ素材で出来たチューブトップ。
頭にはウサギの耳が付いている。

こんなに露出度の高い格好だとは言えなかった私は、お兄ちゃん達には裏方担当だと嘘を付いてしまった。
嘘は付かないと以前お兄ちゃんと約束はしたけど、どうしても言い出せなかったのだ。

バレたら殺される……。

「花音ちゃーん。そろそろ店番出てもらえるー?」
「……は、はーい」

カーテン越しに聞こえてきた声に返事をした私は、コクリと小さく唾を飲み込むと、目の前にあるカーテンを捲った。
その先に見えてきたのは、一般客や他校生の人達で少し混んできた教室。

まだお昼前なのに……。

目の前の光景を見る限りでは、アニマル喫茶はそこそこ人気があるみたいだ。
それは勿論嬉しい事なのだけど、できるだけ人目には触れたくない。

地獄の幕開けの予感に小さく身震いをすると、私は覚悟を決めてカーテンの外に一歩を踏み出したーー。


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