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美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜

第9章 君は変な王子様



「花音……っそんな格好で……そんな格好で……」

ヤ……ヤバイ……。
見つかってしまった……。
どうしよう……どうしよう……。

一人パニックになりながら固まる私。

「そんな格好でっ……! エッチしたいなんて誘うなんてーっ!!」

ーーー?!! ゴンッ!

言葉の衝撃に思わず仰け反った私は、背後の扉に頭を打ち付ける。

……な、なんて?
今……なんて言ったの……ひぃくん……。

ジンジンと痛む後頭部に、クラクラとする頭で一人考える私。

あんなに賑やかだった廊下は一気に静まり返り、私は仰け反ったまま硬直した。

「酷いよっ……!酷いよー花音っ!!」

そう言ってメソメソと泣き出すひぃくん。

廊下に集まった人達は、そんなひぃくんと私を交互に見る。

え……。
何がどうなってるの……。

「私を食べてだなんてっ……!! 俺がいるのにっ!! ……色んな男を誘うなんて酷いよー!!」

ーーー?!!

ひぃくんの放った言葉に、更に真っ青になる私の顔。

そんな事言ってないよ……。
……なんて事言うのよ。
それじゃまるで……
私が浮気女みたいじゃない……。

泣きながら私の腰に飛び付いて来たひぃくん。
その重さに耐えきれず、ズルズルと扉越しに床に崩れてゆく私の身体。

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