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美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜

第9章 君は変な王子様



そのままペタリと床にお尻を着けた私は、私にしがみついてボロボロと泣くひぃくんのつむじを見ながら、ただ呆然と考えていた。

……泣きたいのは私だよひぃくん。

チラリと看板に目を移すと、そこには
【美味しいケーキ 食べに来てね】と書かれている。

ーーーガラッ

寄りかかっていた扉が突然開かれ、私はそのままゆっくりと後ろへ倒れた。

仰向け状態で教室内へと倒れ込んだ私の腰には、ひぃくんが泣きながらひっついている。
私の頭上には、驚いた顔をする斗真くんが立っていた。

「花音っ……酷いよー! どうして?! ……私を食べてだなんてっ!! 酷いよーっ!!」

……ケーキだよ。

ケーキだよ……ひぃくん。
お願いだからちゃんと読んで……。

静まり返ってしまった教室と廊下で、聞こえてくるのはひぃくんの泣き声だけ。

私はそんなひぃくんの泣き声を聞きながら、ピクリとも動かずに放心していた。
素肌が剥き出しになっている私のお腹は、ひぃくんの涙と鼻水でシットリとしている。

何でいつもこうなの……。

周りから好奇の視線を集める私は、真っ青な顔をしたまま呆然と天井を見つめたーー。


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