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美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜

第10章 君とハッピーバースディ



「花音、誕生日おめでとう」

私の目の前へ来た彩奈は、そう告げると私の頭にバースディティアラを乗せた。

頭に乗せられたティアラにそっと触れると、私は顏を上げて微笑んだ。

「ありがとうっ!」
「本物のお姫様みたいだね」

私を見つめる彩奈は、ニッコリと微笑むとそう言った。

「凄いねっ! 風船とかっ……嬉しいっ!」
「花音絶対に喜ぶと思って。三人で用意したの、気に入った?」
「うんっ!本当にありがとうっ! みんな大好きっ!」

そう言って彩奈に飛びつく私。

チラリとひぃくんを見ると、両手を広げてニコニコと微笑んでいる。
どうやら私が抱きつくのを待っているみたい……。

それはできないよ、ひぃくん。
お兄ちゃんにバレちゃう……。

私の視線に気付いた彩奈は、チラリとひぃくんを見ると口を開いた。

「皆にすれば不自然じゃないんじゃない?」

私の耳元でそう囁く彩奈。

なるほどっ!
天才だよ、彩奈!

小さく頷いた私は、彩奈から離れるとお兄ちゃんに飛び付いた。

「お兄ちゃんっ! ありがとう! 大好きっ!」

いきなり飛び付いた私に驚きながらも、お兄ちゃんは優しく抱きしめてくれると「はいはい、甘えんぼ」と言ってポンポンと頭を撫でてくれる。

お兄ちゃん、本当に大好きだからね。

心の中でそう呟いた私は、お兄ちゃんから離れるとひぃくんを見た。
相変わらずニコニコと微笑みながら、両手を広げて私を待っているひぃくん。

私はそんなひぃくんに向けてニッコリと微笑むと、大好きな彼に向かって飛び付いた。

フワリと匂うひぃくんの甘い香り。

私はひぃくんの腰に腕を回すと、ひぃくんの胸に顏を埋《うず》めた。

そんな私をそっと抱きしめてくれるひぃくん。

「……花音、大好きだよ」

私の耳元でそう囁いたひぃくん。

……何だか少し恥ずかしい。
途端に上気する頬。

ほんのりと赤く染まった顏をひぃくんから離すと、私を優しく抱きしめるひぃくんを見上げた。

「ひぃくん、ありがとう! 大好きっ!」

笑顔でそう告げると、ひぃくんは突然ガバッと私を抱きしめる。


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