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美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜

第10章 君とハッピーバースディ



学園祭も無事に終わり、今日から暦も十月に入った。

制服は夏服から冬服に変わり、一気に秋っぽさが増してきた気がする。

そしてなんと、今日は私の誕生日なのだ。

未だにひぃくんとの事をお兄ちゃんに言えていない私は、当然ながら毎年恒例の自宅でのお誕生日会になる。

それでも、今年は恋人としてひぃくんと一緒に過ごせると思うと、私は充分に嬉しかった。

ただ、お兄ちゃんには絶対にバレない様にしないといけない。
ひぃくんにも口止めはしているけど、正直あてにならない。

いつもマイペースなひぃくんは、きっと何も考えていない。
行動から見てもそんな気がする……。

私がシッカリしなきゃ。

制服から私服へと着替えた私は、一度そう自分に気合いを入れると、お兄ちゃん達のいる一階へと降りて行った。

「……わぁ! ……凄い……」

リビングの扉を開けた私は、思わず驚きの声を漏らす。

いつも見慣れている我が家のリビングは、色とりどりの可愛らしい風船で華やかに飾られていた。

……凄い。
私の家じゃないみたい……。

その光景に、思わず口を開けたまま固まる私。

「ーー花音、お誕生日おめでとー」

ハッと意識の戻った私は、声のした方へと視線を移す。

するとそこには、私を見つめて優しく微笑むひぃくんがいた。

「……ありがとうっ!」

私は笑顔でそう答えると、そのままリビングへと入って行く。

ダイニングへ近付いてみると、そこには沢山の料理が並べられていた。

「……わぁ! 美味しそぉー!」
「誕生日おめでとう」

私を見て優しく微笑んだお兄ちゃんは、そう言ってポンポンと頭を撫でてくれる。

「……ありがとう」

……何だか少し照れ臭い。

そう感じた私は、ほんの少し顏を俯かせる。

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