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美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜

第12章 君と私とロバと……




何とか全科目赤点を免れた私は、期末テストお疲れ会と称して、ネズミーランドへ遊びに来ていた。

期末テストお疲れ会なんて言っているけど、実際にはひぃくんとのデートだったりする。

「はい、花音。あーん」

普段ならお行儀が悪いと怒られてしまう食べ歩きも、ネズミーランドでは当たり前。
なんて素晴らしい場所なんだろう。

私はニッコリと微笑むと、ひぃくんから差し出された棒状のドーナツにカプッと食いついた。

「んーっ!美味しぃーっ!」
「良かったねー。花音可愛いー」

ニコニコと微笑む私を見て、フニャッと笑うひぃくん。

あぁ……何だかとっても幸せ。

「ーーおい」

ーーー?!

いきなり背後から割り込んできたお兄ちゃん。

「くっつきすぎだろ」

そう言ってギロリとひぃくんを睨みつける。

何でお兄ちゃんがいるのよ……。

何故か勝手に付いてきたお兄ちゃん。
さっきからずっとこの調子で、正直面倒臭い。

「……もうっ! 何でお兄ちゃん付いて来たの?! さっきから煩《うるさ》いよっ!」

頬を膨らませて文句を言うと、ギロリと私を見たお兄ちゃん。

……ひっ!
い、言いすぎた?!

「お前を狼から守る為だよ」

……?
狼なんて何処にいるのよ。

「お兄ちゃん、狼なんていないよ」

私はそう言うと呆れた顔でお兄ちゃんを見た。

狼なんているわけないのに。
……ここはネズミーランドだよ?

「お前がそんなんだから心配なんだよ」
「心配しすぎだよ。ネズミーランドに狼なんているわけないから」

お兄ちゃん頭いいくせにそんなのも知らないの?
私は呆れて小さく溜息を吐く。

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