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風に吹かれて

第6章 君のうた

今年6月にNHKで放送されたSONGSをまた見た。

この番組では彼がとても良いお顔で。
リラックスして楽し気に、愛おしむように歌っている姿が美しい。
綺麗な人だなぁ、と溜息が出る。



高校を3日で中退して京都へ行って。
東京へ戻って来てからは、事務所へ辞意を伝えていた彼。

デビューの話に本人は乗り気ではなかったのに、親が喜んだのを見て、これも一つの就職だと考え、決意した。

今、39歳の彼は、ことあるごとに感謝を口にしてる。
凄い人だなぁ、と思う。



立場が人を作る、と言うけれど、職業が人を作るという面もまたあり。

その職業によって求められるスキルを習熟するに従って、スタンスが固まってくる。
その人独自のスタイルが作られていく。

わけなんだけど。
その職業上のスタイルと、個人としての自分のスタイルを切り分けるのは、実際のところ難しいように思う。

公私をきっちり分ける、のは出来るだろうけど。
日本の場合は仕事に費やす時間が長いから。

場面ごとに求められるキャラの使い分けは出来ても、引き摺らないで完璧に分けるのは実際困難なことなのではないかと思う。



思いやり、慮るとき、所詮、自分のお粗末な経験から似たようなものをピックアップして、想像するしかない。

彼の職業について考える時、自分の経験で浮かんでくるのは、私の場合、苦情対応を専門にやっていた時のことで。

「C」ですな。

私自身がその仕事に従事していたのは5年に満たない期間なのだが、人間について大変勉強をさせていただいた。

勿論、真っ当なCもある。
でも1割程度。

9割方、お客様の要求は感情的なもので。
大抵の場合、途中から自分の要求を呑むよう相手を思い通りに動かすのが目的にすり替わる。
実に理不尽なことこの上ない。

そういう仕事を僅か4~5年程度やっただけでも、人間性に影響を受けた。

あれで自分の男性性(=決断力、切断力)が磨かれたのだから、今となっては良い経験だったと思っている。

が、そこから女性性(=包容力、許容力)とのバランスを取れるようになるまで、正直かなりかかった。



ファンも結局のところお客様なわけで。

20年。
それはそれは、長かったことだろう。

私達のポジティブな感情が、彼を支える一助となったのであれば、これ以上の喜びはないです。




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