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ドアを開くと、そこはすぐに階段だった。
長い、しかもあまり明かりもなく視界がはっきりしない。

登るには壁を伝っていく必要がありそうだ。
僕は一段一段、ゆっくり登っていく。

思えば不思議な作りの場所だ。
迷宮のようでもあるし、まるで出ることを防ぐようにも思える。
ふと、最初に言われたことを思い出した。

「快楽の籠」

そう言われた。
確かにここは不思議で、自分の欲を満たす籠なのかもしれない。
自分はなぜ、ここに来たのか。
そもそも現実なのかさえ怪しい。

階段をだいぶ登った。
まだ先にはつかないらしい。
それでも歩みは止めない。

そしてあの女性。
写真に絵画、モニターに像。
思えば、あれが現れた時になぜ気づかなかったのか。

そうすると、この先にはきっといるはず。
長い階段を越えて、その突き当たりにたどり着く。
ホテルの部屋のようだ。
鍵は、かかっている。
この部屋は、いままでとは違う。

部屋をノックしてみる。
コンコン。

「どうぞ」
かちゃっと音がしてロックが外される。

僕はドアを開いてその中へ。


室内は、ダブルベッドの置かれたホテルの一室だった。
必要な身の回りの品が最低限置かれている。

「戻ってきたのね」

声の主へ僕は振り向く。
そこに待ち受けていたのは。

エリカが黒い下着だけ纏い、待ち受けるように立っていた。