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快楽の籠

第6章 快楽の底へ

あの絵画も、写真もすべてエリカだった。
見た瞬間は、記憶が濁ったように、気づかなかったのか。

「この場所はね、人の欲望が解放されるの。だから、それ以外のものが、少しずつ鈍って消えていく」
エリカは、表情を変えずに語った。
「私と最初にあったの、覚えているかな?」

ふと、記憶をたどる。
この場所で最初に出会ったのがエリカ。
しかし、本当は、その前に彼女と出会っている。

「思い出したんだ。そう、あなたの記憶では、きっとここに来る少し前になるかしら。あの研修のあとの懇親会」
思い出す。
あの時目を引かれたエリカに、僕は吸い寄せられるように近づいていった。

エリカは、待ち受けていたように応じてくれた。
会も終盤まで、二人で話していた。

「人数もそれなりにいたし、初めての人たちばかりで私たちも目立たなかった。途中で抜けても」
その後、僕たちは会場を抜け出してとある場所へ向かった。
そこは。。

「そこからは思い出せないかな? 気づいたらここにいた感じね。そこでいろいろな女性に会うことになった。最初が私だったけれど」
エリカはくすっと笑った。
「戻ってきた、なんてね。。」

ぼっと語られるのを立ち尽くして聞く僕。
エリカは腕を組んで、ちょっと戸惑った表情をしている。
「ここが、快楽の籠の名のように、自由に快感を得られる場所なのはわかっているでしょ。そうして抜けられなくなる。夢じゃないのよ。現実。だからこそだけど、半分は夢と行ってもおかしくないかな」

エリカの言葉はよくわからない。
確かに現実感ない気もするが、それにしてはリアル過ぎる。

「もう一度会えたら、何をしたかったの?」
エリカは腕を伸ばすと、僕の顔を引き寄せる。
そして、引き寄せた顔を近づけ、唇を重ねる。

柔らかな感触のキスだった。
体が動く。
僕は手を伸ばして、エリカを抱き寄せる。

舌を絡み合わせるキス。
その感触はやっぱりリアルで、一番甘美だ。

「ねえ、ここから出る前に、最高に感じさせてあげる」

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