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娘のカラダは絶賛発育中!頼むからもう少し離れてくれ!

第1章 第一章・父と娘のきわどい関係

~第二章~

 その日の仕事を終え、月曜日の疲れを流そうと、家の近くのコンビニで缶ビールを買った。

 最悪で、長い一日だった。

 朝の美鈴との一件が頭から離れず集中力を欠き、仕事でミスを重ねた。

 我が社が任されているシステムの開発に関して、取引先との打ち合わせ予定があったのだが、時間を間違えて遅刻した。

 先方とは長い付き合いだったから笑って許してくれたが、一歩間違えは契約にも影響しかねない重大なミスだった。

 イライラして新卒で入ったばかりの部下――川口杏奈に当たった。

 淹れてくれたコーヒーがぬるかったからだ。

 彼女は先週末にこさえてしまった俺の口内炎のことを覚えていてくれて、それでわざわざ冷まして持ってきてくれたのに、そんな気遣いにも思い至らず、「こんなモノ飲めない!」と声を荒げ、カップを倒してしまった。

 こぼれたコーヒーはUSBメモリーを直撃した。先週、丸1日かけて作成した企画書のデータが消えた。

 俺は古い人間なのだろう。

 社内クラウドを利用せず、バックアップも取っていなかった。1からやり直しだ、今日の会議に間に合わない、と思ったら余計にイライラが募った。

 少しの落ち度もないのに平謝りする杏奈の涙目を一瞥し、机を叩き、大人げなく無視して肩を怒らせながらトイレへ向かった。

 同僚が追いかけてきて、「ちょっと今のはひどいぞ、彼女に謝れ」と廊下でたしなめられ、そいつはイケメンで爽やかで誰からも慕われているような奴で、分かってるんだ、俺が悪いって分かってるんだ、トイレで頭を冷やして後で謝ろうと思ってたんだ、だから余計なコト言うなよ、誰かに指摘されたくなんかないんだよ、という思いが噴出してしまった。

「うっせー! 黙っとけよ!」

 大声で同僚を振り払い、勢い良く歩き出してトイレのドアを開けたら、向こうにいた上司の額にドアが直撃した。

 普段から反りの合わない上司だった。

 その後の会議で企画書を用意できなかったことに立腹したその上司から吊し上げを食らい、杏奈にも謝れず、残業して企画書を書き上げた頃には23時を回っていた。

 ひどく落ち込んでいた。

 肩を落とし、マンションの玄関にたどり着いたのは日付が変わる寸前だった。

「ただいま……」

 カギを開け、小声で言った。
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