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インターセックス

第4章 夢醒「憧れの彼との抱擁」

 切り立った崖の向こうに海が広がる。
海に夕日が沈みかけて、あたり一面の風景が茜色に染まっている。

 崖の縁にある手すりに肘を掛けて夕焼けを眺めている。
隣には、私の高校の先輩である金子澄也くんが立っている。
澄也くんは、高校の陸上部で皆からの憧れの的だった。

 綺麗な夕焼けに見惚れている私の横顔を見つめる澄也くん。
見つめられている事に気がついた私。
「やだ、そんなに見つめないで」
「夕日も綺麗だけど、君の方がもっと素敵だよ」
私は、思わず舞い上がってしまった。そんな言葉コミックでしか見たこと無い。
「やだ、恥ずかしい。わたしなんか……」
そう言いかけると彼が私の肩にそっと手を回し彼の顔が迫ってくる。
憧れの先輩の唇が迫ってきている。もう、するしか無い。私の唇が彼を求めている。
重なり合う口と口。初めて経験する柔らかい唇の感触に気持ちが集中する。
襲いくる甘美な欲望の世界に体が制御不能に至ってしまっている。

絡み合う舌の先。彼を求める私の体は、彼と重なり合いきつく抱きしめる。
なんとも言えない高揚感に包まれていると彼の左手が私の胸ボタンを外し始める。
ボタンの外れた隙間から彼の左手がブラの中へと入ってくる。
「ああだめ、こんな所で……」
もう、周りに誰かいるとか考えられなくなっていた。

潤んだ私の目と股間、心と体が熱くなっている。

乳房を包む彼の左手が私の心をもみほぐすかのように優しく愛撫する。
やがて、口を塞いでいた彼の唇は、私の乳首へ移る。
その温かい彼の左手は、乳首から離れ下半身へと向かう。
「ああ、だめ……、そこはダメ!」
私は、自分の膨らんだ股間に気がついた。
一気に高揚感は、薄れ血の気が引いていく。
慌てて彼の左手を抑える。
「どうした?」驚くように見つめる澄也。
「そこは、だめ」と言う私の抑える手を振り切るように彼の左手が私の股間へと届く。

 次の瞬間、澄也の驚愕の顔。まるで幽霊でも見たかのような表情。
私は、その表情を見た瞬間に心が地獄の底に突き落とされる。

 仰け反る私は、体が引っ張られるように後ろへ引かれる。
手すりを超えて体が倒れていく。
崖から落ちていく私の体。
「助けてー!」大声で叫ぶ私。

 ガバっと飛び起きると布団の中で冷や汗をかいている。
「夢か……」
全身が、汗で濡れている。恐怖で心臓が飛び出そうな勢いだった。

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